「正直さを保つって難しいよね?」
「そうだね。『どんなときも』って考えると尚更だね。」
「このあいだ先生に、『今日はお化粧濃いですね!』って言ったら
怒られちゃったし…。」
「ははっ…いらんこと言っちゃったね〜」
「でもホントに濃かった…。」
「ん〜それはそうなんだろうけど、それ言ったところで
ダレトクなんだろうね〜。」
「ダレトク?」
「そう。誰でも褒められると嬉しいし、怒られると悲しいよね。」
「うん。」
「きみが先生に言った言葉って、どんな気持ちで言ったの?」
「どんな気持ちか…。ん〜よくわからない…。」
「そうだね~。ぼくらの日常は、いちいち考えて言うことばかり
じゃないからね。
でもね、 ちゃんと気持ちを込めて言葉を伝えることは
とても大切なんだ。」
「気持ちか〜。」
「そうそう、気持ち。正直であることは自分に対して思うこと。
でもね、相手への気持ちが込められない言葉は
それが正直なことであっても言うべきではないんだよ。」
「じゃあさ、相手がトクすることなら気持ちを込めて言っても
いいってこと?」
「正解!」
「じゃ〜あした、先生に『このあいだはゴメンナサイ。
先生はお化粧しなくても美人ですよ!』って言ってくる!」
「あ、ちょっとまっ… 大丈夫かな? 火に油注がなければいいけど…。」