「なにムズカしい顔してるの?」
「あーごめんごめん。顔は生まれつきでごめん。」
「なにか考えごと?」
「んー…。正しいことは正しいのか?って。」
「なにそれ?…禅問答みたい(笑。」
「そうだね~。なんかさ、◯◯警察って聞くよね…。」
「あ〜、マスク警察とか、自粛警察とか?」
「そうそう。」
「ぼくも『そこまでやるか?』と思うことはあるけど…。」
「うん。」
「たぶん…自分はガマンしてるのに他人は『どこ吹く風』
みたいな行動が許せないんじゃない?」
「うん。そこ。『自分は正しい』と思っていて
そうではない人を正しくない、と思っている。
だから、正さなきゃ!ってさ。」
「それは一理あるんじゃない?
行政の要請に従うのは正しいことなんじゃないの?」
「うん、正しいと思う。 でも、従わない人を注意してください、
とまでは 行政は言ってないよね。」
「それはそうだけど。」
「平時なら声などかけない見ず知らずの人に
『正しい』を後ろ盾に注意する。
注意された人は、面食らったり驚いたり
逆上する場合もあるかもしれない。」
「ニュースで見たかも…。」
「正しいことは、ときに拡大されたり
縮小されたりすることがある。」
「変化するってこと?」
「うん。だから慎重に取り扱うことが 大事じゃないかなって。」
「…なんでそんなこと思ったの?」
「非国民って言葉知ってる?」
「知らない。なにそれ?」
「そか。また今度話すね。」