「編集長!復職おめでとうございます。」
「ああ、ありがとう。医者からも奇跡だと言われたよ。」
「ええ、でしょうね。なにせ1年以上も意識不明だったのですからね。」
「ま、それはともかく、新連載の企画は進んでいるか?」
「はい!バッチリです。」
「どんなストーリーだ?」
「主人公は野球少年。投げては三振の山を築き、打ってはホームランを量産。
やがて、メジャーで大活躍するストーリー…」
「おい、ちょっと待て!
そんな現実離れした古典マンガみたいなものを誰が観るんだ!
あまりに稚拙なストーリーだ。」
「いいえ、それだけではありません。
主人公はメジャーでホームラン王とサイヤング賞をダブル受賞するかもしれないんです!」
「いいかげんにしろ!
キミは仕事をなめてるのか? それとも正気を失ったのか?」
「お、時間だ。 ではこれを観てください。」(TVをつける)
「なんだ、プロモーションムービーもできているのか…。」
「いいえ、この野球中継はライブです。」
「映画だろ?」
「ライブです。」
「ウソだ!だって、今、ホームラン打った、このOHTANIってヤツ
前のイニングでピッチャーだったろ?」
「はい。次のイニングも投げますよ。」
「…。」