かつての古巣の仲間たちは
ぼくの動きを探っているのだろうか…
ぼくの親しい仲間たちから、相次いでそんな話を聞いた
ぼくが何かを企んでいると思いたいのだろうが
それは的外れな憶測だ
ぼくの考えはシンプルだ
ぼくはぼくの道を行くけど
キミはキミの道を行けばいい
そう
ぼくの支配者はぼくであって
キミの支配者はキミしかいないのだから
だからぼくは
誰も誘わない
ただ…同じベクトルを見ている人が
ぼく以外にいたら
一緒に行こうよとか
そんな言葉は不要で
気がつけば視界にいるのだろう…
そう…
それだけのこと
<後記>
登山では見ず知らずの複数の人たちと遭遇するが
それらの人たちと予め約束などしたりしない
偶然出会っただけのこと
追い越したり、追い越されたり
一度の遭遇もあれば
複数の遭遇もある
そして「なぜ、この山に?」と聞くのは愚問だ
「あなたは?」
と聞き返されるだけのこと
そう…この山に魅せられた理由は十人十色でも
魅せられた…
それだけで良いではないか