Innovation

「ね〜」

「な〜に?」

「最近さ、イノベーションって言葉使う会社とか
 多く感じるんだけど、イノベーションってなーに?」

「そだねー。多いかも…。
 ん〜そだな〜、簡単に言うと
 新しい活用の仕方とか、サービスとかって意味かな〜。」

「新しい技術とか?」

「ん〜それはちょっと違うのかな〜。
 あくまで『考え方』に焦点を当ててる感じかな。」

「考え方か〜…。じゃぁさ、カーシェアリングとかサブスクとか
 って、イノベーションになるの?」

「おっ、そうかもね〜。クルマって以前からあるモノだけど
 利用の仕方が新しい発想だものね〜。」

「じゃ、これからドンドン増えてくるかな〜イノベーション。」

「そだねー。増えるんだろうね〜。
 でもねぇ〜…。」

「でも?なぁに?」

「イノベーションって、利用者から見ると、いわば『光』
 なんだけど、提供者から見ると『影』でもあるんだ…。」

「どゆことー?」

「例えば、薬剤師さんがこれまで処方箋とお薬の正誤チェックを
 患者さんに渡す前に自分の目で確かめているのを画像認識カメラと
 システムを使って自動チェックする仕組みができるようになった。
 これは薬剤師さんの負担を減らす画期的なことだと思う。」

「すごいね。良いことじゃん!イノベーション。」

「うん。お薬を待っている患者さんの待ち時間も短縮されるしね。」

「そうそう。いい事ずくめ。」

「でもないんだな〜。これが…。」

「どして?」

「薬剤師さんの代わりに、機械がチェックを請け負うようになると
 だんだん薬剤師さんがやることが減っていくようになるのかな〜って。」

「いいじゃん!仕事が楽になるし!」

「ん〜…。それだけならホントにいい事ずくめなんだけどね〜。」

「何が言いたいの?」

「技術が進歩することは、短期的には人間を楽にするんだけど
 長期的には人間を必要としなくなるってことだから…。」

「え〜怖い!」

「そう…怖い一面もあるんだ。
 もしも、きみのスマフォが明日から使えなくなるって考えたら?」

「ちょー怖い…てか、困る〜。」

「よねー。すでに…
 きみもぼくも、スマフォに支配されているかもね〜」

「それも怖い。けど、いまさらスマフォ手放せない。」

「だよね〜。
 13年前まで、誰もスマフォなんてもってなかったのにね。」

「…。」

「イノベーションは、お金を払う人にとっては歓迎されるけど
 お金をもらう人たちにとっては、もらいにくくなるモノ。」

だからぼくは手放しでは歓迎できない…
イノベーションってやつを…

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